前回の記事では犬の高脂血症の原因について
かなり詳しく解説しました。
⇒犬が高脂血症を起こす原因を獣医師がわかりやすく解説
治療方法について知りたい方はこちらをご覧ください。
⇒愛犬が高脂血症と診断されたら治療と薬【獣医師監修】
前回の記事では原因以外に
そもそも高脂血症とはどういうものなのかについても
かなり細かくわかりやすく解説していますので
まだご覧になっていない方は必ずご覧になってくださいね。
⇒犬が高脂血症を起こす原因を獣医師がわかりやすく解説
今回の記事では犬が高脂血症になったら
どんな症状がでるのか解説します。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
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犬が高脂血症を起こすとどんな症状がでる?
目次
犬が高脂血症になったらどうしていけないのでしょうか?
はっきりとわかっていないことがあるのですが、
高脂血症があることで病気の引き金になる事があると言われています。
また以下、解説していきますが高脂血症により目の病気の原因になったり
オシッコに蛋白が混ざるようになったり、いろいろな弊害が出ることがあります。
犬が高脂血症を起こすとどんな病気になりやすくなるのでしょう?
犬が高脂血症を起こすと膵炎になりやすくなります。
ある論文によると、膵炎を起こしたミニチュアシュナウザーは
膵炎が起きていない健常なミニチュアシュナウザーと比べて
高脂血症が起きていることが多いそうです。
つまり、膵炎のミニチュアシュナウザーは膵炎のない子たちと比べて
発症前に高脂血症があるかどうか検査した時に
高脂血症を持っている確率が高いということです。
正常なTG(トリグリセリド)は120mg/dLくらいですけど、
膵炎のミニチュアシュナウザーは発症前に800mg/dL以上という
重度の高脂血症というケースが多いです。
ちなみに膵炎になったら症状として激しい嘔吐や食欲不振などが起こります。
ですから、高脂血症により膵炎を引き起こし
激しい嘔吐・下痢や食欲不振などの症状が起こるということですね。
膵炎についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒犬の急性膵炎治療法について
⇒犬が急性膵炎を起こす7つの原因
⇒犬が急性膵炎発症!致死率は?
⇒犬猫の大腸性下痢と小腸性下痢の見分け方を獣医師が解説
ですので、ワンちゃんが高脂血症を起こしているだけだと
症状が出ないかもしれませんが、
特にTGが800㎎/dLといったような重度高脂血症だと膵炎を発症し
膵炎の症状が出ることがあるので注意した方がよいでしょう。
くどいようですが、ワンちゃんが重度高脂血症を起こすと
膵炎を起こし、激しい嘔吐・下痢、食欲不振、痛みによる沈鬱な雰囲気などの症状が出ることがあります。
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逆に膵炎によって高脂血症を起こす犬もいる
こちらの画像は他院で誤診され、
当院に診察に来たものの、1週間で亡くなったフレンチブルドッグです。
この犬は急性膵炎を起こしていたのですが、
ただの下痢だと診断されてしまっていました。
当院で膵炎だと診断した後、血液検査で高脂血症も発現しました。
つまり、膵炎を起こした後、高脂血症を起こす犬もいます。
ただ、基本的に臨床的な意義は少ないと感じています。
海外の論文を見ていると膵炎を起こしているワンちゃんで
高脂血症がある場合って約20%くらいというデータがありました。
つまり、膵炎を起こしていても高脂血症が発現するワンちゃんは少ないということです。
ですので、膵炎が原因で重度の高脂血症を起こす可能性は
臨床的には考えにくい印象です。
ここまで言えることは、重度の高脂血症⇒膵炎による症状
は考えられますが、膵炎⇒重度の高脂血症は考えにくいということです。
ややこしい話ですが、
膵炎だと診断されているワンちゃんが
その後、血液検査で重度の高脂血症と診断された場合を考えてみますと、、、
もしかしたら、最初から高脂血症があって、
高脂血症が原因で膵炎を起こしていた可能性の方が高いということです。
犬の高脂血症と蛋白尿
ワンちゃんに高脂血症があると、
よく尿検査でタンパク質が出てくることがあります。
これを蛋白尿といいます。
原因ははっきりとわかっていないこともありません。
とはいえ、UPCを測定すると約半数の犬で上昇しているというデータもあります。
UPCとは尿たんぱく・クレアチニン比の略です。
UPCが高い⇒オシッコに含まれている蛋白の量が本当に高いことを意味します。
腎不全のワンちゃんも蛋白尿が出ますから、
蛋白尿と聞くだけで顔面蒼白になる飼い主さんもいます。
ただ、高脂血症⇒蛋白尿から腎不全などに発展することがあるのでしょうか?
結論としてはあまりわかっていません。
犬の高脂血症による動脈硬化
犬と猫は基本的に高脂血症から動脈硬化がおこることはほとんどありません。
理由は前回の記事で詳しく解説しています。
⇒犬が高脂血症を起こす原因を獣医師がわかりやすく解説
犬の空胞性肝障害と高脂血症
空胞性肝障害は肝臓の細胞に空砲がたまる状態をいいます。
ガンとか炎症の類ではありません。
症状はほとんどありません。
症状があるとしたら嘔吐とか食欲が落ちるとかくらいですね。
空胞性肝障害は高脂血症があって肝臓内に脂肪が蓄積されていくことで起こります。
結果、肝臓がダメージを受け、血液検査でALPなどが上昇することがあります。
ですから空胞性肝障害の場合には血液検査で高脂血症とALPなどの上昇があります。
それから少ないものの嘔吐とか食欲不振などの症状がみられたりします。
犬の高脂血症による目の症状
犬が高脂血症を起こすと目に症状がでることがあります。
角膜脂質、黄色肉芽腫、網膜脂質血症などの目の病気がおこりやすいといわれています。
続いてこちらの記事をご覧ください。
⇒⇒愛犬が高脂血症と診断されたら治療と薬【獣医師監修】