犬の肥満細胞腫と寿命:悪性度の重要性【獣医師解説】

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肥満細胞腫

この記事では犬の肥満細胞腫と寿命の関係についてわかりやすく解説していきます。
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犬の肥満細胞腫と寿命の関係

犬の肥満細胞腫と寿命

猫やフェレットにできる肥満細胞腫は基本的に良性腫瘍です。
転移をする可能性が低いってことです。

ですが、犬の肥満細胞腫は基本的に悪性腫瘍です。
放っておいたら全身に転移して手遅れになることもあります。
つまり、犬の肥満細胞腫は寿命に大きく関係しています

ただ、どれくらい転移しやすいか?
は悪性度によって違ってきます。

犬の肥満細胞腫における悪性度については
こちらの記事で詳しく解説していますので
よろしくお願いいたします。
犬の肥満細胞腫と進行速度:早期発見の重要性【獣医師解説】

犬の肥満細胞腫で寿命に影響を与える要因

犬の肥満細胞腫で寿命に影響を与える要因は

・悪性度(グレード1~3で3が最も悪性度が高い)
・ステージ(ステージ1から4で4は遠隔転移や再発があるもの)
・完全に切除で来たかどうか
・犬種

などです。

寿命に関係する要因(1)悪性度(グレード)

グレード1

グレード1は悪性度が最も低いタイプです。
グレード1なら外科手術により完治する可能性があります。
となると、完全に切除できれば
肥満細胞腫によって寿命が短くなる可能性は低いといえるでしょう。
ただ再発したりだとか、
手術で体が弱ったなどで亡くなってしまうワンちゃんも
私は見ています。
どんな病気でもかかってしまったら
命を削られてしまう可能性は否定できないってことです。

ただデータではグレード1の場合、
2年生存率は100%だといわれています。
生存期間中央値は2年以上です。

生存率とは肥満細胞腫だと診断されてから
一定期間後に生存している確率のことです。
悪性腫瘍の治療効果を判定するのにすごく重要な指標になります。
グレード1の2年生存率は100%だということは
グレード1だと診断された場合は少なくとも2年は生きることができるということです。

これに対して生存期間中央値とは
ある集団において50%の患者さんが亡くなるまでの期間のことです。
Median Survival Timeと英語で書くのでMSTと書くこともあります。
例えば100匹の肥満細胞腫の犬がいたときに50匹目が亡くなった時点
が生存期間中央値(MST)となります。

グレード2

それからグレード2は悪性度がグレード1とグレード3の中間に該当します。
そういった意味で予後(寿命)の判断は難しいです。
グレード1に近いこともあればグレード3に近いこともあるわけですから。
グレード1とグレード3の結果の中間になるということだと思ってください。

グレード3

グレード3は最も悪性度が高いです。
外科手術だけだと再発転移の可能性が高いです。
外科手術だけだと1年生存率は約25%で
生存期間中央値は4ヶ月程度とかなり短いです。

外科手術+放射線治療の場合だと1年生存率は約70%で
2年生存率は約40%というデータがあります。

寿命に関係する要因(2)ステージ

ステージによる分類

ステージ1 皮膚に1個のシコリがあるけど所属リンパ節への転移はないもの
ステージ2 皮膚に1個のシコリがあって、しかも所属リンパ節への転移がある
ステージ3 所属リンパ節への転移は無関係で
周囲にシコリが広がっているいるかあるいは複数のシコリがある
ステージ4 遠隔転移がある、あるいは再発がある

となっています。

なのでステージが4に近ければ近いほど
寿命は短くなる可能性が高いと言えるでしょう。

寿命に関係する要因(3)犬種

パグ、ボクサー、ゴールデンレトリーバーは比較的予後が良いといわれている。
なので同じ犬にできた肥満細胞腫でも
パグ、ボクサー、ゴールデンレトリーバーの方が
寿命は長くなる可能性が高そうです。
この辺はグレードなどによっても違ってくるので
最後は必ず主治医の先生に聞いてみてくださいね。

では次の記事では犬にできる肥満細胞腫の特徴について解説します。
犬の肥満細胞腫とは何か?特徴を獣医師が解説

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