前回の記事で、ワンちゃんのクッシング症候群の診断方法について解説しました。
⇒犬がクッシング症候群か診断する方法【獣医師監修】
もしワンちゃんがクッシング症候群だと診断されたら
こちらのお薬を処方することがあります。
⇒トリロスタン犬用(Vetoryl)30mg
が、動物病院で処方するとなると高額な治療費がかかります。
他にもいろんな治療方法があって、それぞれ
治療費もまったく違ってきます。
この記事では愛犬がクッシング症候群だと診断されたら
どんな治療を受け、どれくらいの治療費がかかるのか
実際に診察をしている獣医師が解説します。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
・ネクスガードスペクトラ(超小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(小型犬用)
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・ネクスガードスペクトラ(大型犬用)
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犬のクッシング症候群の治療費と治療方法:下垂体依存性の場合
目次
犬のクッシング症候群の原因に腫瘍もありますから、
手術や放射線治療で治療する方法もありますし、お薬で治療する方法もあります。
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
下垂体依存性のクッシング症候群の場合、
巨大腺腫(腫瘍が大きいという意味)でもなければ、
飲み薬で治療していくことになります。
この場合、よく使われるのがこちらですが
動物病院で処方してもらうとなったら毎月数万円の治療費が必要になるでしょう。
⇒トリロスタン犬用(Vetoryl)30mg
なぜなら処方する前に血液検査や超音波検査などを組み合わせて
お薬を処方することになるからです。
あと場合によっては脳下垂体を摘出手術することもありますし、
腫瘍が大きい場合には下垂体照射(放射線治療)で治療することもあります。
摘出手術や下垂体照射の場合には、高度医療となり、
CTやMRI検査と組み合わせるため、20万円以上の治療費は普通にかかるでしょう。
動物病院によってやり方が違うので
同じ治療でも治療費が違うことは普通にあります。
あくまで、当院で治療したらという意味です。
犬のクッシング症候群の治療費と治療方法:副腎腫瘍の場合
副腎腫瘍が原因でクッシング症候群を起こしている場合には
まずは副腎摘出手術が第一選択になります。
これも治療費は動物病院によってまちまちですが、
大量出血の可能性がある、大変難しい手術になるので
20万円前後は普通にかかるでしょう。
ただ治療費は検査代や薬代、術後のケア(スタッフが徹夜で代わる代わる対応する)など
本当に大変な治療になるので治療費が50万円かかったとしたも
文句は言えないと個人的には感じます。
この辺は必ずあなたがお願いする動物病院の獣医さんに事前に確認してください。
手術についてはこちらの記事をご覧ください。
⇒犬のクッシング症候群で手術する場合とは?【獣医師監修】
あと他にも放射線治療をする場合もあります。
放射線治療だってCTやMRI検査もしながら
照射角度なんかも考えて、行います。
また放射線治療をする場合には放射線取扱主任者の1種免許を持った専門性の高い獣医師が行いますので
やはり治療費は高額になるでしょう。
この辺も必ず担当獣医師に治療費がいくらくらいかかりそうか確認するようにお願いします。
思ったより安い場合もあれば想像以上に高いケースだってあるでしょうから。
あとは症状だけコントロールしたい場合にはお薬で治療することになります。
その場合やはりこちらのお薬が第一選択になります。
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犬のクッシング症候群の治療薬トリロスタン
トリロスタンはおもにクッシング症候群の原因になるコルチゾールを抑制する作用があります。
開始用量は体重1㎏あたり0.5~1㎎を1日2回か、あるいは
もう少し多い量(高用量)で1日1回にする場合があります。
1日1回高用量より、1日2回低用量の方が副作用が少なくなる可能性があるというメリットがありますが、
ただ、お薬代が高くつくというデメリットもあります。
注意点としては食事と同時にトリロスタンを愛犬に飲ませることです。
食事と一緒の方がお薬の吸収を高めるからです。
⇒トリロスタン犬用(Vetoryl)30mg
で、治療がうまくいっているかどうかは
前回解説したACTH刺激試験を定期的に実施します。
⇒犬がクッシング症候群か診断する方法【獣医師監修】
具体的にはトリロスタンを飲ませて4時間後にACTH刺激試験を実施することで判断します。
で、トリロスタンをワンちゃんに飲ませて、症状がなくて
ACTH刺激試験の数値が1.5~5㎍/dLならお薬の量が適切と判断します。
この辺は検査方法や動物病院の方針によって数値の判断は変わってきますので
かかりつけの動物病院の方針に従ってください。
この辺も毎回検査代が数万円程度かかる可能性があります。
ACTH刺激試験に加えて超音波検査などを組み合わせることが多いからです。
犬のクッシング症候群の治療薬パシレオチド
パシレオチドは下垂体の働きを抑制してACTHの産生を抑制したり
下垂体にある腫瘍細胞の増殖抑制もあると言われています。
ただ治療費が異常に高くなります。
1回処方してもらったら10万円くらいかかるかもしれません。
だから動物病院で使用しているところは少ないでしょう。
犬のクッシング症候群の治療薬ミトタン
ミトタンというお薬は副腎皮質を壊死させることで
コルチゾールの産生を抑制するお薬です。
トリロスタンの方が良く使われています。
⇒トリロスタン犬用(Vetoryl)30mg
犬のクッシング症候群の治療薬ケトコナゾール
ケトコナゾールはワンちゃんの真菌症(カビ)のお薬です。
でも、ケトコナゾールはコルチゾールの産生を抑制する働きがあるので
クッシング症候群の治療で使われることがあります。
ただ、現在日本で購入できません。
海外からの輸入になり、高額になりがちです。
最後に、今回はクッシング症候群の治療方法や治療費について解説しました。
ですが、これはかかりつけの動物病院によって治療方法や治療費は全く違います。
なので、たくさんある治療方法や治療費の1つを例示しただけだと理解してください。
最終的にはかかりつけの動物病院の方針に従ってください。
あと犬のクッシング症候群について知りたい方はこちらをご覧ください。
⇒犬がクッシング症候群か診断する方法【獣医師監修】
⇒犬のクッシング症候群の症状【獣医師監修】
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
⇒犬のクッシング症候群末期症状はどうなる?【獣医師解説】