- 2020-11-13
- 猫の病気
- 治療, 猫白血病ウイルス感染症
- 猫白血病ウイルス感染症の予防・診断などについて獣医師が解説 はコメントを受け付けていません
猫白血病ウイルス感染症は、猫免疫不全ウイルス感染症と同様、
レトロウイルス科です。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
ですが、猫白血病ウイルス感染症はレトロウイルス科の中でもオンコウイルス亜科という点で
猫免疫不全ウイルス感染症と異なります。
それからウイルスの形はエンベロープがあるので
アルコール消毒で消毒可能です。
エンベロープについてはこちらの解説をご覧ください。
⇒猫コロナウイルスとは?獣医師がわかりやすく解説
そしてエンベロープによってA,B,Cという3つにサブタイプに
分けることができます。
ちなみに猫免疫不全ウイルスは4つのサブタイプに分かれます。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
あと、猫白血病ウイルスの場合にはコア蛋白というものが存在しています。
このコア蛋白によって猫白血病ウイルスにかかっているかどうか検査(抗原検査)できます。
前回、猫免疫不全ウイルスの診断方法について説明しました。
猫免疫不全ウイルスの場合には、抗体検査しかできないがために
ワクチン接種を受けるだけでも、本当は猫免疫不全ウイルスにかかってないのに
陽性になることがあるって説明しましたね。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
でも、猫白血病ウイルスの場合にはコア蛋白を調べることで
抗原検査(ウイルスそのものがいるかどうか確認できる検査のこと)ができるわけです。
抗体検査みたいな前回の検査は陽性だったけど、今回の検査は陰性だったみたいな
いわゆる『陰転』みたいな現象は起こりにくいです。
そういった意味では猫免疫不全ウイルスよりも猫白血病ウイルスの方が
より正確な検査ができますし、ワクチンによる影響を受けにくいウイルスだと言えそうですね。
とはいえ、猫白血病ウイルスに感染した猫のうち
15%は最初の検査で陽性だったけど、その後、陰性になるという陰転が見られたという
論文があります。
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猫白血病ウイルス感染症の特徴
目次
猫白血病ウイルス感染症は5歳くらいまでの若齢猫に多いです。
また、雄と雌なら雄の方が多いです。
猫ちゃんが猫白血病ウイルスに感染し、
体内から、ウイルスが排除されない状態を持続感染といいます。
そして持続感染していると獣医師が診断した場合、
その後2~3年で猫ちゃんが亡くなることが多いというデータがあります。
猫エイズより、猫白血病ウイルスの方が命に落とす可能性が高そうですね。
あくまで個人の主観ですが。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
それから東京都などの都市部だと猫白血病ウイルスに感染している確率(感染率)は約5%です。
逆に100頭いたら95頭は猫白血病ウイルスに感染していないので、
私は獣医師ですがそんなにメジャーな感染症だとは感じていません。
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猫白血病ウイルスはどうやって感染する?
猫エイズと比較すると猫白血病ウイルスの方が鼻水とか唾液に混じっているウイルス量が多いです。
なので、猫白血病ウイルスに感染している猫の鼻水や唾液から感染が拡大することがあります。
そんなことから、猫白血病ウイルスに感染している猫ちゃんと
感染していない猫ちゃんの共同生活は猫エイズと比べると難しいでしょう。
たとえば同じ食器を共有していたら、
唾液から感染が拡大することも考えられます。
また、感染している猫ちゃんがクシュンクシュン鼻水を飛ばすだけでも
感染が拡大する可能性があります。
あと、猫白血病ウイルスは胎盤を介しても感染しますし、
母乳からも感染しますし、交尾によっても感染します。
とにかく個人的には猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)よりも
猫白血病ウイルス感染症の方が感染しやすく、
感染したら命を落としやすい病気だと思います。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
ただ、猫白血病ウイルスにかかっている猫ちゃんのオシッコやウンチから
ウイルスは出てきません。
そういった意味ではトイレ掃除よりも食器の消毒の方が
猫白血病ウイルスの予防にとって重要だと言えそうですね。
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猫白血病ウイルス感染症の進行
猫白血病ウイルス感染症にかかった場合の進行具合は
猫免疫不全ウイルス感染症の場合と似ています。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
まず急性期に入ります。
ウイルスは口から入ってきます。
なので、急性期は口や喉に猫白血病ウイルスが存在するわけですね。
次に持続感染期に移行します。
持続感染期では骨髄でウイルスが増殖します。
骨髄や白血球とか血小板を作る場所です。
白血球や血小板にウイルスがくっつき感染します。
そして猫白血病ウイルスに感染した白血球や血小板は血管を介して全身を流れることになります。
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猫白血病ウイルス感染症に感染するとどう進行する?
猫白血病ウイルスに猫ちゃんが感染したら
どのように感染が拡がっていくのでしょう?
最初ウイルスは口や鼻などから入り、喉あたりにあるリンパ節で3日程度とどまります。
このあたりで感染しているか検査しても判別できません。
だいた感染して2週間くらいでウイルスが骨髄で増殖し
ウイルスに感染した血液が全身に流れるようになります。
ですので、感染して2週間くらいすると上記画像のような検査キットを使って
猫白血病ウイルス(FeLV)に感染しているか検査できるようになります。
つまり、あなたの猫ちゃんが外出してしまったとしましょう。
その後猫ちゃんが帰ってきたけど、喧嘩していたようで傷がありました。
そんな場合、すぐに動物病院に連れて行ったとしても怪我の治療はできても
猫白血病ウイルスにかかっているかの検査はできないってことです。
猫白血病ウイルスの検査を受けるなら
ケンカをしたであろう日から2週間後にしましょう。
でないと検査しても、陰性(感染していない)という結果になってしまい
誤診につながりますから。
話を元に戻します。
感染して約1カ月くらいになると猫白血病ウイルスが唾液や涙などから
排出されるようになります。
つまり、感染して約1カ月で他の猫ちゃんに
猫白血病ウイルスをうつす可能性が出てきます。
猫白血病ウイルスの検査方法
先ほど、猫白血病ウイルスにかかっているかどうか検査できるのは
ケンカなどの感染リスクがあってから2週間後だと解説しました。
上記画像が実際に動物病院で使う猫白血病ウイルスの検査キットです。
これはELISA法という方法で猫白血病ウイルス(FeLV)抗原を検出するキットです。
抗原=ウイルスそのものというイメージです。
ですので、ウイルスが存在している(産生されている)ことを証明する検査キットです。
逆に猫ちゃんが猫白血病ウイルスに感染しているかどうか?診断する検査キットではありません。
検査しても陰性になることがあるんだよ。
たとえば、2020年11月現在、話題のウイルスのPCR検査で
PCR検査で陽性だけど、上記検査キットで陰性だったケースが
たくさん存在します。
⇒詳細はこちら
なので、検査キットだけで猫白血病ウイルス(FeLV)が陰性でも
真実として陰性かどうかはわからないということです。
猫白血病ウイルス感染症の予防方法
先ほども解説しましたように、猫白血病ウイルスはエンベロープがありますし
他の猫ちゃんに感染させるパワーも弱いので
消毒で環境中のウイルスをやっつけることができます。
消毒は当院でも使っているようなアルコール消毒になります。
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ただ、ウイルス量が猫免疫不全ウイルス(猫エイズ、FIVのこと)よりも
猫白血病ウイルスの方が多いです。
そのため、猫エイズよりも猫白血病の方が感染しやすいと考えられています。
特に成猫よりも子猫の方が猫白血病ウイルスに感染しやすいです。
逆に年齢が上がるほど猫白血病ウイルスに感染しにくくなるといわれています。
ちなみに猫白血病ウイルスは感染・発症猫の唾液、便、鼻水、母乳に存在しています。
ですから、喧嘩で相手猫に噛みついた時に唾液から、
濃厚接触することで食器についた唾液や鼻水から猫トイレについた便から
母猫の母乳から感染が拡大していきます。
猫白血病ウイルスは猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)より感染力(相手猫にうつすパワー)が強いです。
したがってもし、同居猫が猫白血病ウイルスに感染しているようなら、
同居猫と一緒の部屋で生活させない、トイレや食器は別々にする
アルコール消毒を徹底するなどの予防策が必要になってきます。
それから猫白血病ウイルスを予防できるワクチンがあるので、
ワクチン接種は受けた方がよいでしょう。
この辺は猫エイズとは考え方が違ってきますね。
⇒猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)について獣医師がわかりやすく解説
猫白血病ウイルスワクチン
もし猫ちゃんに猫白血病ウイルスのワクチンを受けさせるなら
その前に猫白血病ウイルスに感染していないか?
検査することがガイドラインにより推奨されています。
特にワクチン接種を推奨しているのは
外に出てケンカや交尾をする猫ちゃんです。
猫白血病ウイルスに感染している猫が多い地域の猫ちゃんもワクチン接種が推奨されています。
子猫の場合には生後2か月くらいで1回、
1か月後にもう1回ワクチン接種することが推奨されています。
その次は1年後に接種します。
猫白血病ウイルスの防御が可能だったそうだよ。
ネガティブな見方をしたらワクチンさえ打てば100%
猫白血病にかからないとは言えないってことになりますね。
猫白血病ウイルスに感染するとなぜガンになりやすくなる?
こちらの画像はSmall Animal Clinic No138に掲載されたものと同じものです。
猫白血病ウイルスの遺伝子構造です。
両端のLTR(Long Terminal Repeat)は転写活性を持っている領域を意味します。
で、LTRの間にgag,pol,envなどの遺伝子がコードされています。
envはエンベロープをコードするもので、
個々の遺伝子配列を利用して記事冒頭で解説した3つのサブタイプの分類を可能にします。
それからpolは逆転写酵素をコードする領域でgagは構造蛋白をコードする領域です。
遺伝子が存在するってことを
難しく言ってるだけだよ。
要するにpolがDNAとかRNAにあるって言っているだけです。
で、上記猫白血病ウイルスの遺伝子が
感染した猫ちゃんの細胞の遺伝子に組み込まれます。
で、猫白血病ウイルスの遺伝子も好き好きがあるようで
好みの位置があるようです。
たとえば、がん遺伝子であるmycとかrasなどがある位置を
猫白血病ウイルスの遺伝子は好みます。
すると、猫白血病ウイルス遺伝子のLTRは自分のウイルスの遺伝子を
どんどん転写して、ウイルスを作るために作用します。
ここでは転写(活性)というのは作るってイメージでOKです。
で、LTRによりウイルスを作るときにがん遺伝子も取り込まれてしまい
猫ちゃんにガンができやすくなると考えられています。
その結果、猫ちゃんにリンパ腫や白血病などのガンができてしまいます。
あとはガンとは関係ないですが、
糸球体腎炎や関節炎、再生不良性貧血などの病気になったり、
免疫力が落ちることでトキソプラズマ症や真菌感染症を引き起こしやすくなったりします。
以上で解説を終わります。
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