前回の記事ではワンちゃんがクッシング症候群だと診断された場合、
どんな治療をして、その治療にはどれくらいの費用がかかるのか、解説しました。
⇒犬のクッシング症候群の治療費と治療方法【獣医師解説】
上記リンク先の記事では特に飲み薬を中心に解説しています。
今回の記事では手術に焦点を当てて解説していきたいと思います。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
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犬のクッシング症候群における手術
犬のクッシング症候群の原因はいろいろありますが、
大きく見たら副腎腫瘍か下垂体の腫瘍かどちらかの可能性が高いです。
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
で、検査して副腎腫瘍が原因だとわかったら副腎を摘出する手術を行うことが多いです。
⇒犬がクッシング症候群か診断する方法【獣医師監修】
副腎腫瘍の摘出手術はリスクは割と高めだと思います。
なぜなら手術後1カ月以内に亡くなる確率が論文によって異なりますが、
1割から3割くらいあると報告されているからです。
ここで生存期間中央値という用語があるのですが、
生存期間中央値は英語でMedian Survival Timeで、
MSTと略します。
MSTとは手術や投薬を受けたワンちゃんの中で
生存している人割合が50%ちょうどになる期間のことです。
医学の世界ではこれで術後や治療後の平均生存期間を算出します。
で、副腎腫瘍の摘出手術の場合
MSTが約800日というデータもあります。
たとえば人間の膵癌の投薬治療でMSTが約8.2カ月というデータもあります。
⇒参考文献はこちら
比較対象として間違っているかもしれませんが、
犬の副腎腫瘍の摘出手術でうまくいけばMSTが約800日なら長生きできているなと
個人的には感じます。
ただ、ワンちゃんの年齢や健康状態によっては
手術が不適応となることもあります。
他にも腫瘍が大きすぎるとか全身転移しているなどの事情があれば
手術ができなかったりします。
その場合は飲み薬や放射線治療で治療することになるでしょう。
飲み薬についてはこちらの記事で解説しています。
⇒犬のクッシング症候群の治療費と治療方法【獣医師解説】
この辺は担当の先生としっかり相談し手術は検討してください。
もちろん、その先生が見ているデータによって数値が違うこともありますし、
医学はどんどん進歩しています。
ここで記載しているデータだけで判断しないようにお願いします。
あと下垂体が原因のクッシング症候群の場合には
手術というよりも、放射線治療(下垂体に照射する)と飲み薬で治療することが多いです。
飲み薬についてはこちらの記事で解説しています。
⇒犬のクッシング症候群の治療費と治療方法【獣医師解説】
以上で解説を終わります。