前回の記事ではクッシング症候群の原因や末期症状について解説しました。
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
⇒犬のクッシング症候群末期症状はどうなる?【獣医師解説】
⇒犬のクッシング症候群の治療費と治療方法【獣医師解説】
今回の記事では末期症状ではなく、
一般的にワンちゃんがクッシング症候群になってしまったら
どんな症状がでるのか、日々診療して得た経験をもとに解説していきたいと思います。
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犬がクッシング症候群を起こしたらどんな症状がでる?
ワンちゃんがクッシング症候群を起こした場合、
たいてい飼い主さんは「水をがぶ飲みするし、オシッコの量も半端なく多いんですけど・・・」
って診察の時に言われます。
これは専門用語で『多飲多尿』といいます。
⇒犬猫が多飲多尿かどうか病院でどうやって診断するの?
⇒犬の多飲多尿の原因を獣医師がわかりやすく解説
犬のクッシング症候群で一番認められる症状は多飲多尿になります。
だいたい犬のクッシング症候群の8~9割で多飲多尿が認められるというデータも存在するくらいです。
ただ、逆に犬のクッシング症候群で100%多飲多尿が起こるわけではありませんから、
多飲多尿の症状がないからといって、
クッシング症候群を除外できるわけではありません。
犬の多飲多尿の症状は多飲多尿以外にも
・めちゃくちゃ食欲が増す(約5割で見られる)
・パンティング(呼吸が荒くなる)
・お腹が膨れる(約6割で認められる)
・左右対称(左右同じ形)に毛が抜けハゲる(約5割)
・糖尿病になる(約1割)
・オシッコを漏らす
・皮膚が薄くなる(約3割)
・皮膚に色素が沈着する(約2割)
・元気がなくなる(約4割)
・筋肉が落ちて足腰が弱る(約5割)
・血圧が高くなる
・雌なら発情がこなくなる(約5割)
・精巣が小さくなる(約3割)
・肝臓が腫れる(約6割)
・血栓ができる(ほとんど起こらない)
・顔面神経が麻痺する(約1割)
などがあります。
犬のクッシング症候群を疑う場合、最初にする検査
あと、クッシング症候群のワンちゃんに対して血液検査をすると
どんな異常が認められるでしょう?
クッシング症候群を起こすと、コルチゾールという物質が多量に
分泌されるようになります。
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
その結果、専門用語としてはストレスパターンが血液検査では認められます。
具体的には白血球の中の好中球が増え、リンパ球が減り、
好酸球が減ることが多いです。
それからコルチゾールの増加の影響で
ALPが増えることが多いです(約9割の症例で見られる)。
これも多飲多尿の症状と同じですが、
残り1割のクッシング症候群を起こしたワンちゃんでALP上昇は認められません。
だから、ALPだけでクッシング症候群を診断できません。
あと、尿検査をすると尿比重が1.030以上あるようなら
クッシング症候群を否定できます。
これは多飲多尿の知識があればわかることでしょう。
⇒犬猫が多飲多尿かどうか病院でどうやって診断するの?
⇒犬の多飲多尿の原因を獣医師がわかりやすく解説
逆に尿比重が1.015未満だとクッシング症候群の可能性が出てきます。
上記の異常がたくさんあるようなら、
クッシング症候群の可能性を考え、さらに検査を加えていくことになります。
まだこちらの記事を読んでいない方はどうぞ。
⇒犬のクッシング症候群の治療費と治療方法【獣医師解説】
⇒犬のクッシング症候群が起こる原因【獣医師監修】
⇒犬のクッシング症候群末期症状はどうなる?【獣医師解説】
⇒犬がクッシング症候群か診断する方法【獣医師監修】