- 2020-10-30
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- 猫コロナウイルスとは?獣医師がわかりやすく解説 はコメントを受け付けていません
猫コロナウイルス(FcoV)とはどういうウイルスなのでしょうか?
獣医師がわかりやすく解説します。
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猫コロナウイルスとは?
目次
猫コロナウイルスは以前までFIPVと書かれることがありました。
ですが、最近ではFCoVと書かれるようになっています。
FCoVはFeline Corona Virusの略です。
ところで、猫コロナウイルスはエンベロープを持っています。
エンベロープはこちらの図の左側に存在する脂質でできた外側の膜のことです。
「エンベロープって何?」と思った方も多いと思いますし、
「そんなの意味あるの?」と思った方もいると思います。
が、エンベロープがあるかないかは非常に重要です。
エンベロープは脂質でできています。
脂質はアルコールに弱いです。
なので、エンベロープがある猫コロナウイルスなどのウイルスはこちで消毒できます。
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逆に猫カリシウイルスのようなエンベロープのないウイルスは、
アルコール消毒ではやっつけることが難しいです。
話を元に戻します。
猫コロナウイルスの分類として
猫コロナウイルスを症状で分けるために
・FIPV(猫伝染性腹膜炎ウイルス)
・FECV(猫腸コロナウイルス)
と分けていた時代もありました。
ですが、FIPV(猫伝染性腹膜炎ウイルス)もFECV(猫腸コロナウイルス)も
結局同じ猫コロナウイルスなので、混乱を避けるためにFCoVに統一されています。
で、あともう一つ、
猫コロナウイルスはウイルスのタイプとして
・Type1
・Type2
があります。
こんな感じで2つのタイプに分かれるものの、
だからといって症状が違うわけではありません。
ですので、Type1が猫伝染性腹膜炎をおこしやすいとか、
Type2が猫腸コロナを起こしやすいというわけではありません。
以上が猫コロナウイルスとはどんなウイルスか?と聞かれた時の回答になります。
以下、さらに詳しく猫コロナウイルスについて解説していきます。
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猫コロナウイルス(FCoV)の特徴
猫コロナウイルスに感染した猫ちゃんがいる環境下だと7週間くらい生き残ります。
そこに猫コロナウイルスの猫ちゃんがいたけど、
亡くなっていなくなったとしましょう。
その後新しい猫ちゃんがやってきたとします。
猫ちゃんが亡くなって7週間はやってきた新しい猫ちゃんが猫コロナウイルスに
感染するリスクがあるってことです。
ただ、先ほども言いましたように猫コロナウイルスはエンベロープがあります。
こちらの消毒で十分対処できます。
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ちなみに猫コロナウイルスが外の環境で7週間生き残るというのは長いです。
たとえば猫ちゃんの風邪や口内炎などの原因になる猫カリシウイルスの場合、
ウイルスが生き残れる期間は3~4週間くらいです。
話を元に戻します。
ではどこで猫コロナウイルスに猫ちゃんが感染してしまうのでしょう?
基本的には猫用トイレ、服、手や指を介して感染すると言われています。
たとえば猫コロナウイルスの中でも猫伝染性腹膜炎を発症している猫から
経口で(口から)他の猫ちゃんが感染することがあるのでしょうか?
経口から感染することはあります。
また経皮(皮膚を介して)から感染することもあると言われています。
あとごくまれに垂直感染することがあります。
垂直感染とはわかりやすくいうと妊娠している親猫が胎盤を介して胎児にうつしてしまうことです。
とはいえ、猫コロナウイルスに感染している猫ちゃんのお母さんから
生まれた子供に猫コロナウイルスがそのまますぐかかるか?と言われると、
普通はかからないってことです。
でも、同じ環境で生活することで母猫から子猫に経口的に
猫コロナウイルスが感染することがあると言われています。
なので、もし仮に母猫が猫コロナウイルスを発症しているようなら
生まれた赤ちゃん猫を別の場所にうつすなどの対処が必要でしょう。
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なぜ同じ猫コロナウイルスなのにFIPVになったりFECVになったりするの?
ではなぜ同じ猫コロナウイルス(FCoV)に感染したのに
ある猫はFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症し
ある猫はFEC(猫腸コロナウイルス)を発症するのでしょうか?
前提としてFCoV(猫コロナウイルス)の症状に
FIP(猫伝染性腹膜炎)という症状を起こすものとFEC(猫腸コロナ)の症状を起こすものがいます。
なので、FIPもFECもどちらもFCoV(猫コロナウイルス)です。
FCoV感染のある猫ちゃんに強いストレスがかかると
FIP(猫伝染性腹膜炎)が発症してしまうのではないか?
と考えられています。
強いストレスとして、飼えなくなったからと他の人に猫ちゃんを譲るケースや
ペットホテルに預けるケースや避妊去勢手術を受けるケースなどが考えられます。
具体的にはスパイクタンパク質が変異することで
FCoVの指向性がマクロファージに変わることで
炎症が起こると考えられています。
ややこしい話ですが、スパイクタンパク質とはコロナウイルスの表面を覆っているたんぱく質のことです。
で、マクロファージというのは私たち人間や猫に存在するウイルスなどと戦う細胞の一種です。
で、これは興味深いデータですが、
(室内外飼育の猫)外に行く猫ちゃんがFIP(猫伝染性腹膜炎)を起こすことは珍しいと言われています。
ここまでまとめると同じ猫コロナウイルスに感染しても
その猫ちゃんに強いストレスがかかるかどうかで
命に関わるほど恐ろしいFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症するか、
そんなに恐ろしくないFEC(猫腸コロナ)にかかるか変わってくる可能性があるってことです。
強いストレスがかかったら猫伝染性腹膜炎を発症しやすいってことです。
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FIP(猫伝染性腹膜炎)とFEC(猫腸コロナ)の鑑別方法
先ほどコロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質の遺伝子変異によって
猫伝染性腹膜炎を発症しやすいといいました。
スパイクタンパク質の遺伝子変異⇒猫のマクロファージに対象が向かう⇒猫伝染性腹膜炎発症
の可能性が言われています。
これは2005年に発表されています。
2005年の発表によると、FIPを発症した猫ちゃんから採取された
コロナウイルスからスパイクタンパク質の遺伝子変異が見つかったんです。
その遺伝子変異が猫の腸コロナウイルス(FECV)にかかった猫ちゃんからは
発見されなかったということです。
この結果を利用した遺伝子検査なら
同じ猫コロナウイルスに感染した猫ちゃんが
FIPなのか、FECなのかどちらなのか診断が可能となるわけですね。
この検査方法(RealPCR™ )はアイデックス ラボラトリーズ株式会社が権利を取得してやっています。
かなり激ムズな内容ですが、ここまでの内容が理解できた方なら大丈夫でしょう。
⇒詳細はこちら
FIP(猫伝染性腹膜炎)の診断方法
猫コロナウイルスの症状の一つ、猫伝染性腹膜炎(FIP)の一般的な診断方法について解説します。
先ほど解説したアイデックス ラボラトリーズ株式会社さんがやっている検査をする前の段階です。
どんな猫ちゃんでもバンバン、
アイデックス ラボラトリーズ株式会社の検査をやっていたら
他の病気の可能性(たとえば猫汎白血球減少症とか)を見逃してしまいますからね。
まず動物病院では飼い主さんからお話をお聞きします。
ストレスがかかっていないか?(引っ越しとか他の家に猫を譲渡したとか、
猫ちゃんが手術を受けたとか)確認します。
あと若齢猫の方がかかりやすいので、年齢も気にします。
それからメインクーンなどが猫伝染性腹膜炎をおこしやすいので
メインクーンかどうか?なども意識します。
次にレントゲンやエコー検査などを使って
お腹に水が溜まっていないか(猫伝染性腹膜炎だとお腹に水がたまることがあります)などを
確認します。
他にもお腹に水が溜まらないFIPだと神経症状が出たりするので
神経症状があるかないか?確認します。
そしてFIPの可能性が高いようなら
血液検査を加えていきます。
血液検査だとリンパ球が少なくなっていたり、
抗体検査でFCoVの値が高くなっていたりします。
ちなみにFCoVの抗体価が高いというのはFCoV(猫コロナウイルス)に感染しているか
あるいは過去に感染していたかどちらかなだけで、
FIPを発症しているとは限りません。
ここでもFIPの可能性が高そうならFIPを疑っていきます。
で、先ほども言いましたが、
こちらの検査はかなり有用なので、おすすめです。
⇒詳細はこちら
猫コロナウイルスの予防法
「猫コロナウイルスってどうやって予防したらいいの?」
とよく飼い主さんから聞かれます。
猫コロナウイルス自体は環境中に残ります。
先ほど解説したように7週間くらい残ります。
が、エンベロープを持っているので消毒に弱いです。
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他にも次亜塩素酸ナトリウムも有効です。
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ですので、一生懸命消毒して
環境中(部屋の中とか)から猫コロナウイルスを排除していきましょう。
あと、どうして猫コロナウイルス(FCoV)が発生するか?というと
猫コロナウイルスを発症している猫ちゃんのウンチが原因です。
ですので、予防策としては猫ちゃんがウンチをしたら
すぐにトイレを掃除しましょう。
そしてしっかりと消毒してください。
もったいないかもしれませんが、
できれば定期的に使い古したトイレは捨てて、
新しいトイレと交換してください。
ただ、トイレを交換すると猫特発性膀胱炎を引き起こすリスクもあるので
必ずこちらの記事に書いてあるような対策をとってください。
⇒猫特発性膀胱炎の原因・治療について獣医師がわかりやすく解説
あと、一般的に猫ちゃんは室内飼いで外に出ません。
なので、猫コロナウイルスに感染するということは
同じ家に猫コロナウイルスに感染している猫ちゃんがいるってことです。
ということは多頭飼いの家庭ほど猫コロナウイルスが蔓延しやすいわけですね。
私が診察している中で多いと感じるのはブリーダーさんですね。
ブリーダーさんは多頭飼育が当たり前なので
どうしても猫コロナウイルスの問題を避けて通れません。
とにかくブリーダーさんだけでなく多頭飼育の飼い主さんは
上記予防策を徹底してください。
以上で猫コロナウイルスについての解説を終わります。
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