私が獣医になった20年ほど前、
犬の心臓病といったら「フィラリアかも?」と疑いながら
診察していたものでした。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
⇒【獣医師監修】フィラリア注射したら散歩はいつからOK?
でも、2020年10月現在、
当院でもほとんどの愛犬がフィラリア予防をしています。
「動物病院でフィラリアのお薬を買うのは高すぎる」という方でも
ネットの普及によって、安くフィラリア予防薬を手に入れることもできます。
⇒フィラリア予防薬を安い価格で購入する方法【獣医師監修】
ですから、フィラリアによる心臓病で亡くなるワンちゃんはほぼいません。
そのおかげで犬の寿命は飛躍的に伸びました。
昭和60年ころの犬の寿命は約7歳でした。
でも、令和2年現在、犬の平均寿命は約14歳です。
昔と今では犬の寿命も2倍に伸びたんですね。
そのためか、現在はフィラリア以外の犬の心臓病が増えてきました。
特に僧帽弁閉鎖不全症という心臓病が多いです。
⇒僧帽弁閉鎖不全症の原因
特に僧帽弁閉鎖不全症で多い犬種は
・チワワ
・マルチーズ
・シーズー
・トイプードル
といった小型犬に多いです。
日本は家庭犬と言われるほど、
自宅内で犬を飼う方が多いです。
日本の家はアメリカなど、海外の家と比べると狭いため
小型犬を飼う人が多い気がします。
そんなこともあって、当院でも犬の心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)の
診断・治療をするケースが多いです。
もし愛犬が心臓病(相貌弁閉鎖不全症)だと診断されているのに
今まで通りの生活をさせているようなら
突然死してしまう可能性があります。
「朝起きて、愛犬を見に行ったら冷たくなっていた・・・」
と、よく飼い主さんが目を真っ赤にしながら
私に言ってくるケースが後を絶ちません。
もし愛犬とできるだけ長く一緒に過ごしたい、
長生きさせたいなら、これから解説する3つのポイントを
実践することをおすすめします。
・ネクスガードスペクトラ(超小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(中型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(大型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(超大型犬用)
犬の心臓病|長生きさせるポイント(1)塩分
目次
こちらの記事で詳しく解説していますが、
心臓と塩分は深い関係があります。
⇒犬に使用できる利尿剤の種類一覧【獣医師監修】
塩分(ナトリウム)の摂りすぎは心臓病を悪化させます。
たとえば、イカの塩辛みたいな塩っ辛い食べ物を愛犬に与えるのはNGです。
犬に1日に与えてよい塩分量は
ちょっと複雑な計算式になるのですが・・・
詳しく説明しますね。
まず、食塩って専門的にはNaclと書いて塩化ナトリウムといいます。
つまり、ナトリウムとクロール(塩素)に分離できます。
そこでまず1日に必要なナトリウムの量を計算します。
1日に必要な愛犬のナトリウム量は体重1㎏あたり1日25㎎から50㎎と言われています。
ここでは大きめに見て50㎎だとしましょう。
たとえば、体重4㎏のチワワちゃんなら1日に必要なナトリウム量は
4㎏×50㎎=200㎎となります。
このナトリウム量を前提に1日に必要な食塩量を計算します。
具体的には先ほど計算したナトリウム量×2.54をします。
たとえば体重が4㎏のチワワちゃんなら1日に必要なナトリウム量が200㎎でしたので
200㎎×2.54=508㎎
となります。
ただ、一般的に1日に必要な食塩量は㎎(ミリグラム)ではなくg(グラム)で表します。
なので、1000で割って㎎をgに変換します。
よって、体重4㎏のチワワちゃんなら
508㎎÷1000=0.508g(グラム)が1日に必要な食塩量だと分かります。
あとわかりやすいように体重1㎏のワンちゃんが
1日に必要な食塩量は1㎏×50㎎×2.54÷1000=0.127g
となります。
体重が2kがなら0.127gを2倍すればいいし、
体重が5.5㎏のワンちゃんなら0.127gに5.5倍すればいいです。
ようするに愛犬の体重×0.127g=1日に必要な食塩量(g)となります。
まとめると
愛犬が1日に必要な食塩量(g)は
愛犬の体重×0.127g
です。
あなたの愛犬に食べさせてもよい1日の食塩量がわかったので
次に、食塩含有量が多い食べ物をご紹介しておきます。
意外に塩分が多い食べ物として
・食パン6枚切り1枚あたり塩分0.8g
・ミツカンのカンタン酢(大さじ1杯)で食塩0.63g
・和風ドレッシング(大さじ1杯) で食塩0.7g
・ミツカンの味ポン (大さじ1杯) で食塩1.3g
・三角チーズ1個で食塩0.8g
などがあります。
愛犬の体重から1日に必要な塩分量を計算し、
過剰な塩分摂取を控えるようにしましょう。
ただ、塩分をまったく愛犬に食べさせないのはダメです。
塩分は生きるのに必要だからです。
どんな世界でもそうですが、陰と陽があります。
白と黒の間には無限の色が存在しているように
白黒はっきりつけることってできません。
「アノ人は優しい人」だから
1回も悪いことをしたことがないなんてありませんし、
逆に「アノ人は悪い人だ」とレッテル貼られている人だって
優しい側面もあるでしょう。
塩分がダメだから、塩分を0gにするのはダメです。
犬の心臓病|長生きさせるポイント(2)肥満
肥満は心臓に悪いです。
肥満=人っている=体重が重いということですね。
もし痩せているワンちゃんなら軽く運動できても
肥満のワンちゃんは「よっこらしょ!」と体を動かさないといけません。
私たち人間だって激しく体を動かしたら心臓がバクバク鼓動しますよね。
これと同じで痩せているワンちゃんより肥満のワンちゃんの方が
同じ運動でも、心臓に負担がかかりやすいんです。
肥満⇒心臓に負担がかかる⇒心臓病が悪化⇒死
ですから、愛犬を長生きさせたいならダイエットは考えた方がよいでしょう。
肥満かどうかの見極め方は
BCS(ボディ・コンディション・スコア)を利用すれば簡単にわかりますよ。
まず愛犬を上から見下ろしてください。
こんな感じ。
それから横から見てください。
そのうえで環境省が出している表と照らし合わせてください。
BCSが4か5ならダイエットを検討しましょう。
といっても、過度なダイエットもワンちゃんにとって
体に負担がかかります。
ですから、ゆっくりとダイエットを心がけてくださいね。
・ネクスガードスペクトラ(超小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(中型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(大型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(超大型犬用)
犬の心臓病|長生きさせるポイント(3)治療を受ける
犬の心臓病(相貌弁閉鎖不全症)の治療はお薬が中心となります。
などがあります。
ただ、まれに手術で治療するケースもあります。
たとえば愛知県なら茶屋ヶ坂動物病院、関東ならぬのかわ犬猫病院が有名です。
特に飲み薬で治療が上手く行かない場合には
手術を検討してみるのも愛犬を長生きさせるのに必要かもしれません。
そもそも薬で犬の僧帽弁閉鎖不全症が治ることはありません。
お薬は心臓病の進行を遅くして、
ちょっとでも愛犬が元気に長生きできるようにする目的で
作られているんです。
なので、お薬を飲んでも、
症状が進行すると、利尿剤などのお薬を加えたりして
どんどん飲ませるお薬の量が増えていくケースがほとんどです。
⇒犬に使用できる利尿剤の種類一覧【獣医師監修】
犬の心臓病|長生きさせる3つのポイント|まとめ
最後に、愛犬の心臓病で長生きさせる最良の方法は早期発見・早期治療だと
個人的には思います。
心臓病という敵を早く発見すること(初期の段階)で
ここまで解説してきたような塩分を控えたり、ダイエットさせたり
お薬や手術で長生きさせることができます。
でも病状が進行すればするほど、
ちょっと興奮させたり、ちょっと運動させすぎたりしただけでも
突然倒れて亡くなってしまうワンちゃんを
私はたくさん見てきました。
そうならないためにも
愛犬がいつもより疲れやすいとか
舌の色が青くなることがあったりと
「ちょっと変だな」と感じたら
すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。