前回の記事では犬や猫が多飲多尿を起こす原因について解説しました。
⇒犬の多飲多尿の原因を獣医師がわかりやすく解説
今回の記事では動物病院でどうやって多飲多尿かどうか診断し、
仮に多飲多尿だったらどんな病気なのか診断しているのか?
わかりやすく解説していきたいと思います。
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犬猫の多飲多尿|動物病院でどうやって診断するか?
動物病院に来てあなたが、
「最近お水を飲む量が多くて・・・、しかもオシッコの量も半端なく多いんです」
と獣医師に告げた場合、
動物病院ではまず、
本当に多飲・多尿か?確認します。
多尿は犬猫ともに体重1㎏あたり1日に50mL以上の
オシッコが出る状態を指します。
たとえば、体重が3㎏のワンちゃんなら
3㎏×50mL=150mL以上1日にオシッコがでるようなら多尿です。
これは1日にするオシッコの回数とは関係がありません。
回数が多い頻尿でも体重が3㎏の犬が合計すると
1日に100mLのオシッコの量だったら多尿ではありません。
ただの頻尿です。
あと、尿失禁(オシッコを漏らしてしまう)も多尿ではありません。
この辺を獣医さんは飼い主さんから話を聞きながら
多飲多尿の症状があるのかないのか判断していきます。
ただ、話だけだとよくわからない場合には
飼い主さんの自宅で、愛犬・愛猫の1日に出すオシッコの量を測ってもらって
後日獣医師が多尿かどうか判断する場合もあります。
ただ、こんな疑問が湧いてくる方もいるでしょう。
「どうやって犬や猫のオシッコの量を測るの?」って。
こんな感じで飼い主さんに質問された場合、
私はこのように答えます。
「ペットシーツとか猫砂の量の変化で測ってください」って。
たとえば、愛犬や愛猫がオシッコをする前の
ペットシーツや猫砂の重さを測っておいてください。
そして愛犬や愛猫がオシッコをした後、
ペットシーツや猫砂の重さを測りましょう。
となりますね。
で、オシッコの重さって比重が1に近い(正確に1ではないですが)ので
オシッコの重さが100gなら、だいたい100mLと考えてよいでしょう。
ここではめちゃくちゃ正確な重さまで要求されていません。
だいたい、体重1㎏あたり1日に50mL以上の
オシッコが出ているかどうか?判断するための検査です。
なので、そこまで神経質にならずにオシッコの重さを測ってみましょう。
それから、1日の飲水量も飼い主さんに調べてもらうこともあります。
飲水量が
・犬で体重1㎏あたり1日100mL以上
・猫で体重1㎏50mL以上
だと多飲(お水の飲みすぎ)の状態だといえるでしょう。
たとえば体重が3㎏の猫ちゃんなら3㎏×50mL=150mL。
150mL以上の水を1日で飲むようならお水の飲みすぎ(多飲)と考えます。
次に多飲多尿の原因になるようなお薬を
愛犬や愛猫に飲ませていないか?も飼い主さんにお聞きします。
たとえば、てんかんのお薬の一種フェノバールや
アレルギーなどの治療薬であるステロイド(プレドニゾロン)や
痛み止めに分類される解熱鎮痛剤などは
多飲多尿を引き起こす可能性があります。
ここまでチェックしたら、次に尿検査をします。
尿検査ではまず尿比重を見ます。
尿比重はこちらの検査器具を使うのが一般的です。
⇒アタゴ ATAGO ペン尿比重屈折計 PEN-尿比重
尿比重が犬で1.030以上、猫で1.035以上という濃いオシッコだったら
多尿を除外します。
多尿(オシッコの量が多い)状態だと、
たくさんオシッコという水分が体外に出るわけです。
なので、普通は薄いオシッコが出ます。
つまり尿比重が低い値となります。
そのことから、尿比重が高い(濃いオシッコ)のであれば
多飲多尿の多尿の可能性はほぼないといえるでしょう。
ただ、糖尿病は多飲多尿の原因で、オシッコに糖が出ますが、
この糖は尿比重を高くします。
なので糖尿病かどうか?は血液検査などで除外すべきだと思います。
ただ、ここで飼い主さんに知っておいてほしいのは
簡単な犬や猫に苦痛を与えない尿検査だけで
多飲多尿かどうか判断できるということです。
尿比重が高い(犬で1.030以上、猫で1.035以上)なら
多尿の可能性をほぼ除外できますから。
こちらの記事で解説した病気の可能性を除外できるってことです。
⇒犬猫で多飲多尿を引き起こす病気
逆に尿比重が犬で1.030以下、猫で1.035以下なら
多尿の可能性があります。
ただ、ここでも注意ですが、
特に犬の場合は動物病院に行く前に緊張から
たくさんお水を飲んでしまい、
本当は尿比重が1.030以上なのに、尿検査したら尿比重が
1.030以下になる場合もあります。
そういった意味では、心配なら
何回か動物病院を受診して尿検査を受けた方がよいでしょう。
逆に猫はそこまで水をガブ飲みすることはありませんし、
元から濃いオシッコを出す動物です。
なので、猫の場合は1回の尿検査で尿比重が1.035以下なら
多尿の可能性があります。
それから、尿比重が犬で1.030以下、猫で1.035以下なら
細菌性の膀胱炎がないか確認します。
細菌性の膀胱炎でも多飲多尿の症状が出ますからね。
⇒犬猫で多飲多尿を引き起こす病気
細菌性の膀胱炎も尿検査で『ある程度』わかりますので、
ついでに検査します。
ここまでが犬や猫に多飲多尿の症状があるか
動物病院で行う診断方法です。
もし多飲多尿があるということならコチラの記事で解説しているような
病気の可能性があるので、さらに検査をすすめていくことになります。
⇒犬猫で多飲多尿を引き起こす病気