犬猫に使う食欲増進剤というお薬の種類一覧【獣医師解説】

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  • 2023-2-20
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今回は動物病院で使用されることがある食欲増進剤についてのお話しをしたいと思います。
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犬猫に使う食欲増進剤はどんなときにつかう?

老犬のシャンプー

たいていのワンちゃんや猫ちゃんは高齢になると
食欲が落ちてきて痩せてきます。
これはよくあることです。

ただ食欲落ちると体力も落ちてくるので
病気にかかりやすくなります。

そうならないために食欲増進剤を使うことがあります。

これに対して病気もないし元気もある。
だけど食欲がないワンちゃんや猫ちゃんもいます。
診察でよく相談されます。
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特に夏場に多いです。
夏バテってやつですね。

そんな場合でも食べないと体力が落ちるので
食欲増進剤を使うことがあります。

それから病気のワンちゃんや猫ちゃんだって
食欲がある方が病気の回復は早い傾向にあります。

だから食欲がない場合には
食欲増進剤を使うことがあるのです。

このように書くと
「うちの犬は腎不全で不治の病。
だったら食欲増進剤を使って食べるようになっても意味ないんじゃないの?」
って疑問に感じた方もいるかもしれません。

でも、腎不全みたいに治らない病気であったとしても
食べないとどんどん体力が削られます。
そしてより速いスピードで病状が悪化し
亡くなるまでのスピードも速くなりがちです。

だから一生病気と付き合っていかないといけないタイプであっても
食欲がないなら食欲増進剤を使うことはよくあることです。

犬猫に使う食欲増進剤は万能薬ではない

食欲増進剤

犬猫に使う食欲増進剤は万能薬ではありません
根底にある病気が改善しない限り食欲は戻りません。

どういうことかというと
病気が改善していない食欲のないワンちゃんや猫ちゃんに
食欲増進剤を投与したとしましょう。

すると一時的に食欲は戻るかもしれません。
でも、あくまで一時的な話です。食欲増進剤の効果が切れたら
また食欲不振の状態に戻ります。

一般的に食欲増進剤の効果持続時間は短いです。
たておばジアゼパムという注射タイプの食欲増進剤だと
数秒程度しか効果は持続しません。

なので食欲増進剤はあくまでも
少しでも犬や猫に食べてもらうための補助的なお薬にすぎません。
食道チューブや胃ろうみたいに
設置すればずっと犬や猫に食事を与え続けれるようなものではないよってことです。

犬猫の食欲増進剤と副作用の関係

ワンちゃんや猫ちゃんに使う食欲増進剤は
1つや2つではありません。
いっぱいあります。

ですがほとんどの食欲増進剤は
そのお薬の本来の効果ではありません。
そのお薬の副作用によって食欲が増しているだけなんです。

副作用とは?

では副作用とはどういう作用のことをいうのでしょうか?
副作用とは何か?理解しやすくするために
副作用の対義語は何か?考えてみましょう。

副作用の対義語は主作用です。
主作用とは『病気を治す』、『症状をを軽くする』
など薬本来の目的の働きのことです。

これに対して
副作用とは病気の治療のために使った薬によって
望んでいない作用がでること
です。

たとえば抗ヒスタミン剤があります。

抗ヒスタミンの主作用は

・ヒスタミンの働きを抑える
・アレルギー反応を抑える
・かゆみなどの症状を抑える

です。

これに対して抗ヒスタミンの副作用は
抗ヒスタミン作用により脳の活動が抑えられることによる眠気
があります。

ただ、副作用には有害なものと害のないものがあります。
害のないものの1つに今回のテーマ食欲増進剤があるわけですね。

犬猫に使う食欲増進剤の種類

(1)セルシン(ジアゼパム)

ジアゼパム

ジアゼパムには『ホリゾン』とか『セルシン』という商品名のものが存在しますが、
みんな同じです。

ジアゼパムはベンゾジアゼピン系のお薬で
睡眠薬や抗不安薬などの系統になります。

脳にあるベンゾジアゼピンという受容体に作用します。
するとGABAの働きが高まり脳がリラックスします。
結果、眠たくなったり不安が減ったりします。

以上がジアゼパムの主作用です。

ジアゼパム
さらにジアゼパムには食欲増進効果もあります。
ジアゼパムには飲み薬と注射タイプがあるのですが、
静脈注射だと食欲増進効果数秒で消えてしまいます。
効果が薄いってことです。
だからジアゼパムの食欲増進作用を狙うなら飲み薬を利用することになります。

とはいえ、ジアゼパムの鎮静効果は強いです。
量が多いとフラフラになることもあります。
だから衰弱しているとか重症の犬猫には使えません。
また猫に複数回使うと肝不全の危険性あるので注意が必要です。

(2)ペリアクチン(ジプロへプタジン)

ジプロへプタジンはペリアクチンという名前で出回っています。
ペリアクチンは比較的古い抗ヒスタミン剤で
抗アレルギー作用が本来の狙いです。
ですが、動物病院では昔から食欲増進剤として利用されています。

ところでペリアクチンは犬より猫に利用されることが多いです。
なぜなら犬は猫よりペリアクチンの効果が早く切れるからです。
効果が早く切れるということは犬は猫より食欲増進効果が弱くなります。
だからペリアクチンは犬より猫で利用されることが多いのです。

ちなみに上の方で解説しましたが食欲増進作用は
副作用の1つです。

ペリアクチンの場合
食欲増進作用以外にも副作用があります。

食欲増進作用以外の副作用として

・攻撃性が高まる
・遠吠え

などがあります。

ただ副作用は薬の量を減らすとか
あるいはやめることで改善することが多いです。

(3)レメロン(ミルタザピン)

レメロン

ミルタザピンの商品名はレメロンやリフレックスです。
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)の一種です。
人では抗うつ剤として使用されています。
抗うつ剤としての量よりも少ない量を投与することで
犬猫の食欲を刺激します。

犬猫で使いますが、
特に慢性腎不全の猫ちゃんに利用されることが多いです。
ミルタザピンにより食欲が刺激され食べる量少し増えます。

あるデータでは入院中の猫ちゃんに
ミルタザピン(レメロン)を投与したところ
80%以上の猫に食欲の増進効果があったそうです。

ただしミルタザピンは食欲増進作用以外にも
興奮やむだ鳴きなどの副作用がまれに起こります。

それからミルタザピン(レメロン)は飲み薬が基本ですが
軟膏製剤(塗り薬)が北米で発売されました。
耳に塗るだけで皮膚から吸収されます。
効果も飲み薬と同様です。
なので飲み薬を飲まない食欲不振の猫にとって画期的といえるでしょう。
ただ塗り薬のミルタザピンは日本にはありません。
海外から輸入しないと手に入らないってことです。
だから高額になりますし
どこの動物病院でもおいているわけではありません。

こちらのサイトでAmazonや楽天で買うのと同じくらい簡単にレメロンを購入できます。
詳細はこちら
レメロン(Remeron)30mg
(ただし錠剤です)

どんな食欲増進剤でもそうですが
ミルタザピンもお薬の効果が切れれば元の状態に戻ります。
だから定期的な投与が必要です。
また興奮などの副作用が出る可能性があることも理解しておいてください。

ちなみにミルタザピンが犬猫の食欲を刺激するということに関して
学術論文も多数存在します。
慢性腎臓病の猫に対する食欲刺激剤としての自家製経皮ミルタザピン軟膏の評価

(4)ステロイド

プレドニゾロンなどのステロイドも
服用すると食欲が出ることがあります。

パナフコルテロン5mg(プレドニゾロン)

(5)エンタイス

ミルタザピン(レメロン)は主として猫に使います。
これに対してエンタイスは主に犬に使用します。
詳しくはすぐ下で解説します。

犬の食欲増進剤エンタイスってどんな薬?

たいていの食欲増進剤は
食欲増進という副作用を逆手にとったものです。
このことに関してはくどいくらいに解説してきましたね。
つまりたいていの食欲増進剤は主作用ではないってことです。

あくまでお薬は主作用を狙って開発されたものです。
だから副作用で食欲増進作用を狙うってのは効果が不安定になりやすいです。
またジアゼパムみたいに鎮静作用などの作用が出ることもあります。
そういった意味で使い勝手が悪いものが多かったという印象があります。

そんな中登場したのがエンタイスという食欲増進剤です。
塩タイスはグレリンという食欲を刺激するホルモンと似た成分でできています。

グレリンは空腹時に胃から血液中に分泌されます。
そして脳の摂食調節部位に作用し食欲を刺激して
その結果お腹がすきます。

エンタイスは副作用でなく主作用として犬の食欲増進作用を示す
FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けている世界初の薬
です。

甘い香りがする液体のお薬なので薬嫌いのワンちゃんでも
飲んでくれる可能性が高いです。

飲んでからだいたい30分くらいで食欲がでることが多いです。

ただ塩タイスは日本で販売していません。
海外から輸入することになります。
だからどこの動物病院でも置いているわけではありません。
しかも置いてあっても高額になる可能性があります。

ですがこちらのサイトからなら
Amazonや楽天と同じように
簡単にエンタイスを個人輸入できます。
しかも動物病院価格よりおそらく安いです。
詳細はこちら
エンタイスカプロモレリン内用液(Entyce Capromorelin Oral Solution)犬用

犬猫用食欲増進剤まとめ

今回は犬猫に食欲増進作用のある
お薬について解説しました。

食欲がなくて衰弱していく犬や猫に
食欲増進剤は有益です。

たとえば腎不全で食べない子に
食欲増進剤を使って食べさせ
体力をつけさせるとか。
どうにかして食べてもらって
体重や体力を維持することは
すごく大切なことです。

なぜなら病気で一度落ちてしまった
体重を元に戻すのはかなり大変なことだからです。

そういった意味でも
食欲不振で体重が落ちてきているワンちゃんや猫ちゃんに
食欲増進剤を検討してみてもよいかもしれません。
エンタイスカプロモレリン内用液(Entyce Capromorelin Oral Solution)犬用

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