キシリトールといえば、ガムとか歯磨き粉を
イメージする方が多いのではないでしょうか。
動物病院で診療をしていると甲高い声で冷や汗をかきながら
ドアをバタンとものすごい勢いで開けながら「うちの犬がキシリトール入りのガムを食べたんですけど、
大丈夫ですか?ハァ、ハァ」と息を切らしつつ
言ってくる飼い主さんがいます。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
ただ、ネットで検索していると
「犬がキシリトールを食べても大丈夫だよ。危険なんて嘘!」
っておっしゃる方もいます。
実際のところどうなのでしょうか?
解説していきたいと思います。
・ネクスガードスペクトラ(超小型犬用)
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・ネクスガードスペクトラ(大型犬用)
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犬にキシリトールを与えちゃダメ!ってのは嘘?
犬とキシリトールの関係については
当ブログでも何回か解説しています。
⇒犬がキシリトールを食べて肝障害を起こす量は?
⇒犬がキシリトール中毒を起こす量は?
上記タイトルから見ても明らかなように
犬がキシリトールを食べるのは危険です。
なので、嘘ではありません。
では何が危険なのでしょう?
専門的には用量依存性インスリン誘導といって、
キシリトールを犬が食べてしまうと
膵臓のランゲルハンス島のβ細胞からインスリンを分泌させるのを
強く促してしまうんです。
糖分の代表格であるグルコースを犬が食べると、
すぐに血糖値が上がるのですが、
これもまた早い段階で膵臓のランゲルハンス島のβ細胞からインスリンが分泌され
血糖値が下がります。
でも、キシリトールを犬が食べた場合とグルコースを犬が食べた場合と比べて
キシリトールの方がグルコースより5倍前後、インスリンの分泌を強く促してしまうんです。
つまり、キシリトールを食べると強烈に犬の血糖値が下がってしまい
低血糖を起こしてしまうことがあるのです。
⇒犬が低血糖を起こす原因【開業獣医師監修】
ではどれくらいの量のキシリトールを犬が食べると
低血糖を起こしてしまうのでしょう?
少なくとも犬の体重1㎏あたり0.03グラムで低血糖を引き起こす可能性があると言われています。
⇒犬がキシリトール中毒を起こす量は?
なので、愛犬の体重が5㎏なら
5㎏×0.03=0.15gのキシリトールを食べると低血糖を起こす可能性があります。
ちなみにキシリトールガム1粒で約1.3gといわれていますので、
体重が約45㎏の犬でもキシリトールガム1粒食べるだけで
低血糖を起こし命の危険が生じてしまうということです。
ましてや体重が5㎏前後の小型犬だとキシリトールガム1粒食べたら
低血糖を起こし命を落とす可能性は相当高いと言えるでしょう。
「もし愛犬がキシリトールガムを食べたらどれくらいで低血糖を起こすの?」
と心配になっている飼い主さんもいるでしょう。
キシリトールガムを愛犬が食べて
たいてい30分から1時間くらいで低血糖を引き起こすと言われています。
でも、ガムといってもコーティングのされ方が
商品によって違います。
しっかりとコーティングされているガムなら
愛犬が食べても消化吸収するのに時間がかかる分、
低血糖を起こすまでの時間が長くなるでしょう。
それでも数時間くらいで低血糖を起こすでしょう。
1日後に低血糖を起こしたなら、
それはキシリトール中毒の可能性は低いと思います。
あと、愛犬がキシリトールを食べた場合、
低血糖を引き起こした後に肝障害(肝不全)を起こすこともあります。
たいていキシリトールを食べてから1日から2日くらいたってから起こります。
最後にまとめますと、
愛犬がキシリトールを食べたら危険です。
低血糖や肝障害(肝不全)を起こす可能性があるので
嘘ではありません。
しかも少量で起こるので
犬を飼っている方、キシリトール入りのガムや歯磨き粉はなるべく
愛犬がいないところで食べたり使ったりするようにしましょう。