先日、ほかの動物病院から転院してきた黒茶色のチワワちゃんを診察しました。
嘔吐が止まらないそうです。
詳しい事情を飼い主さんに聞いてみました。
他の動物病院を受診したとき、
お腹をもむように触っただけで
「大腸がん、余命2か月」と診断されたのだとか。
しかも血液検査もレントゲン検査もなく
シクロフォスファミドという抗がん剤の飲み薬タイプと
なぜかドロンタールプラスという駆虫薬を処方されたそうです。
お薬を飲み始めてすぐに、
嘔吐がさらにひどくなり、数日でガリガリに痩せてきたため
不安になり、当院を受診したとのこと。
私は獣医師です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ
当院でチワワちゃんの状態をバリウム検査やエコー検査などで
調べてみましたが、大腸がんの可能性はほぼありませんでした。
嘔吐の可能性はおそらく抗がん剤の副作用だと判断し
服用を中止してもらいました。
ちなみにドロンタールプラスなどの錠剤の飲ませ方について
こちらの記事をご覧ください。
⇒ドロンタールプラスの飲ませ方4パターン
この記事ではドロンタールプラスの副作用に嘔吐があるのか、
解説していきたいと思います。
・ネクスガードスペクトラ(超小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(小型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(中型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(大型犬用)
・ネクスガードスペクトラ(超大型犬用)
ドロンタールプラスで嘔吐の副作用がでることってある?
まず、以下の引用をご覧ください。
ドロンタールと副作用の関係について調べたものです。
以下動薬研究 1999.5.No58
17ページから18ページにかけて引用
引用元URLhttps://www.bayer-pet.jp/vet/research_pdf/chounai_kiseichu_58b.pdf
ドロンタールプラス錠
犬における安全性に関して,プラジクアンテル,パモ酸ピランテル,
フェバンテルとしてそれぞれ
5,14.4,15㎎/kgを基準量とする常用量の
10倍量までの用量の単回投与による試験,
常用量の6倍量までの
用量の3日間連続投与による試験,
並びに妊娠犬および子犬(哺乳期を含む)に
おける試験が実施された。その結果,高用量投与
により散見された嘔吐を除き,副作用は認められなかった。また,妊娠犬の繁殖成績および子犬の
成長に影響はみられなかったことから,
妊娠犬および子犬への投与も含め,
本剤の安全性に特に問題はないものと考えられた。
(畜産生物科学安全研究所,南アフリカ・Roode-plaat
研究所,ドイツ・バイエル社,オーストラリア・バイエル社)
上記のように多めの量で(高用量)で愛犬にドロンタールプラスを飲ませると
嘔吐の副作用が出る可能性があります。
ですが、一般的にドロンタールプラスが原因で
嘔吐の副作用が出る可能性は低いでしょう。
もちろん、偶然、
おなかの調子が悪いなどが原因で
ドロンタールプラスを飲んだ後、
愛犬が嘔吐する可能性もあるでしょう。
なので、もし副作用がご心配なら
ドロンタールプラスを処方してもらった
動物病院に相談することをおすすめします。